多嚢胞性卵巣症候群とは
卵胞が卵巣の中にたくさんできるけど、排卵がおこりにくくなる病気です。これにより月経周期が不規則になったり不正出血が引き起こされたりします。 20人に1人の割合で、月経不順の原因で一番多いのが多嚢胞性卵巣症候群です。 原因はまだはっきり解明されていないですが、ホルモン分泌の異常と言われています。
多嚢胞性卵巣症候群の検査
超音波検査、血液検査(ホルモン検査)を行います。
診断基準があり、①月経異常②多嚢胞性卵巣(超音波)③血中男性ホルモン高値またはLH高値(FSH正常)
この①~③すべてを満たす場合は多嚢胞性卵巣症候群と診断します。
多嚢胞性卵巣症候群の問題
多嚢胞性卵巣症候群の方の中には3か月以上月経が発来しない場合をよく見かけます。
その場合、子宮の内膜がずっと厚い状態が続き、子宮体がんのリスクが高まります。
無月経の状態が3か月以上続かないように定期的に出血を起こす必要があります。
また、妊娠を希望されている方は規則正しく排卵が起きないため排卵のタイミングが分からず、妊娠までの時間がかかってしまうことがあります。妊娠を希望されたら早めにかかりつけ医に相談しましょう。
多嚢胞性卵巣症候群の治療
1.現在妊娠を希望している場合
排卵誘発剤を使用します。
2.現在妊娠を希望していない場合
黄体ホルモン剤
月経周期の後半10~14日間だけ黄体ホルモン剤を投与します。
黄体ホルモンは排卵すると卵巣から分泌されますが、多嚢胞性卵巣症候群の場合は排卵がおこりにくいため分泌されません。この黄体ホルモン剤を補うことで月経のような出血を起こします。
低用量ピル
経口避妊薬でよく知られているお薬です。カウフマン療法や黄体ホルモン剤は妊娠する可能性があるため、避妊効果も期待する場合は低用量ピルが適しています。月経痛が強い方、PMSなどがある方にもお勧めです。どのお薬がいいのかはそれぞれその方の状態によって異なりますので遠慮なく相談して下さい。
カウフマン療法
卵巣から出ているホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を投与し、月経周期を疑似的に作り、この治療をやめた時の自然排卵を期待します。